テレワークでの女性の健康経営の課題。女性の健康を実現するポイント

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2019年頃から積極的に活用が始まったテレワークは、コロナ禍によって急速に拡大しています。三菱UFJ&コンサルティングの調査では、緊急事態宣言期間にテレワークを導入した企業が約9割に上ったことが明らかになりました。

この調査によれば、テレワークの導入にあたり、人事の方が最も感じた課題はテレワークのためのシステムや端末の準備、次いで「社員の労務管理・健康管理の困難さ」となりました。この困難さについては、「人事管理の困難さ」や「人事評価のしづらさ」よりも多くの人が問題として挙げています。

さらに、今後の働き方については、緊急事態宣言期間の勤務形態・環境を何らかのかたちで継続すると回答した企業は全体の9割以上でしたので、このようなテレワークでの問題はこれからも継続する可能性が高いといえます。すでに健康経営に取り組んでいる企業やこれから健康経営に取り組もうとしている企業にとっては、特にこの問題については関心が高いのではないでしょうか。

そこでこのコラムでは、多くの人事の方が課題や問題と感じているテレワーク環境での健康管理、健康経営の中でも、新たに取り組み項目として追加されたことで特に最近注目が集まる「女性の健康経営」について考えてみたいと思います。

テレワークでの健康経営の新たな課題

社員のエンゲージメント向上や「健康経営優良法人」の認定を受けるために、企業は、肥満対策のための運動器具の設置、糖尿病対策のためのセミナー開催、社員食堂などを活用した健康に配慮した食事の提供、定期的な運動や休憩時間の確保などといった、様々な施策を行っています。

しかしテレワークを導入する以前に職場で行われていたこのような施策は、出勤を前提として設計されています。したがって、こういった企業主導で行われていた施策のエッセンスを社員は自ら自宅でも簡単に行うことができるよう、支援するということがテレワーク環境では重要な視点です。

社員主体の健康管理をどのようにして実現するかということが、今日の新たな健康経営の課題といえるでしょう。

テレワークでの女性の健康経営の課題

緊急事態宣言後にテレワーク導入が急速に進む中で、働き方だけではなく生活の仕方にも多くの影響が出ました。

例えば、連合の調べでは、テレワークを行うようになり生活に変化が起きたこととして「家族との会話が増えた」(29.5%)「プライベートの充実につながった」(25.4%)などが挙げられています。

他方で、高校生以下の子供がいる家庭の場合、テレワークに難しさを感じる人の割合は約7割にも上り、特にその難しさを感じるのは女性の方が多いという結果が報告されています。理由として挙げられているのが、子供の身の回りの世話、遊び相手、昼食の準備といったものでした。

テレワークによる女性の仕事への影響の様子は、別の調査でも報告されています。積水ハウス住生活研究所の調査によれば、子供とパートナーが在宅していることが女性の家事負担の増加につながり、ストレスの増加につながっていることが明らかにされています。

テレワークといえば、かつては仕事と育児の両立の負荷を軽減することを目的の一つとして利用されるケースが多かったのですが、家族が在宅している状況でテレワークを利用すると、女性に対して家事の負担によるストレスの原因になってしまうことが懸念されるといえます。

女性の場合、仕事に加えて子供やパートナーの世話をすることに時間がとられ、普段通っている病院に行く機会を逃してしまう可能性もあり、健康課題が以前よりも増している可能性もあります。

また、コロナ禍以前のオフィス勤務の時には生理休暇等を利用することもできたけれども、テレワークで在宅勤務になったことが理由で、かえって生理休暇が取りづらくなり、体に負担がかかっている可能性も否めません。

このような様々な役割や環境の変化に伴う心身の負荷が増してしまっては、女性の健康経営の実現は難しくなってしまうといえるでしょう。

テレワーク環境で女性の健康経営を実現するために

家庭での突発的な出来事に対して、女性の負担がかかりやすい事は、日ごろからあったように思えます。例えば、子供の病気、ケガなどについては、女性の方が実に対応していることが多いのではないでしょうか。

このような日ごろの役割や対応については、再び緊急事態宣言がまた出されたときなどの最悪の状況を想定し、一度パートナーと話し合っていくことは重要だと言えます。また、職場でも理解が得られるように、上司と話し合っておくことも必要かもしれません。

対面状況とは違い、テレワーク環境の場合では上司が部下の状況を把握しづらいということもあります。そのため上司は女性の体調に関する兆候をつかむことができず、配慮することが余計に難しいかもしれません。そこで、テレワーク環境によって変化したことについては、上司と話すということも場合によって必要なことと言えるでしょう。

緊急時に対して、以上のような備えをすることで、女性のストレスの低減につながることが期待されます。そして、テレワークが定着すれば、家庭の充実、ひいては仕事の充実につながる可能性もあることは野村総合研究所の調査で明らかにされています。

在宅勤務をする場合、仕事とする場と生活をする場所の境界があいまいになり、仕事の中に生活が入ってきてしまうことはどうしても避けられません。働く時間も長くなりがちという課題もあります。

以上をまとめると、仕事と生活について、時間的な制約があるなかで、周囲の支援を得ながら、いかにして自律的に健康管理を行うことができるのかが、テレワークと女性の健康経営をうまく進めるうえでの重要なテーマだと言えるでしょう。

テレワーク環境で女性の健康経営を推進するポイント

テレワークによる在宅勤務を経験した多くの人が、平常時もその働き方を継続したいと考えているようです。在宅勤務によりストレスを感じる可能性が高い女性が、その意向の下で少しでも仕事と家庭の充実につながるよう、テレワーク環境での女性の健康経営を推進するためにおさえておきたいポイントを最後にお伝えします。

女性の健康経営推進のために本人ができること

自身について可視化

  • 健康管理のアプリなどを使い、体調の変化がわかるようにする。
  • 体調管理のための取り組み(通院など)を、後回しにせずに行う。

家族を巻き込む

  • 家事の見える化をする。
  • パートナーや子供とともに家庭での役割を話し合い、分担できそうなものを決める。
  • 互いに家事を支え合うことができるようにする。

女性の健康経営推進のために企業ができること

状況をキャッチアップできる体制づくり

  • 本人が置かれている状況を相談できる窓口を設置する。
  • オンラインでも相談が受けられるような仕組みを作る。
  • 情報や機会提供の継続

    • 対面時と同じように、健康管理に関連した制度を利用できるような情報を発信する。
    • オンラインセミナーやイーラーニングを活用し、健康管理の情報にアクセスできるようにする。
    • 上司に悩みを相談できる仕組みづくり

      • 人事考課以外に、1on1やキャリア面談などを導入し、キャリアの悩み、仕事と生活の両立の悩みといったものを上司に相談できる機会を設ける。

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