精液検査の前に:夫が知っておくべき男性不妊検査の基礎知識と心構え

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「不妊治療の検査を始めたいから、一緒に精液検査もやってほしい。」妻から言われたらどうしますか? 自分で行きたい病院を検索し、スケジュールを調整し、準備万端で精液検査に臨む!そんな人はどれくらいいるのでしょうか。 大抵の人は妻が探してきた不妊治療クリニックに連れていかれ、なすすべなく検査に参加させられる、、、それが現在の精液検査の現状かもしれません。 しかしデリケートな検査を言われるがままに行う事には、抵抗を感じる男性も多いはず。また、病院を受診する機会自体が少ないから緊張する、と感じる人もいるのではないでしょうか。 精液検査をする前に検査の「イロハ」について学ぶことで、少しでも不安を払しょくし、納得して検査を進めていきましょう。

痛みや受診ストレスを徹底チェック!

ステップ1、精液検査

痛み☆☆☆☆☆ 精神的ストレス★★★★★(望まないマスターベーション、結果への恐怖、妻からのプレッシャーなど)

どこの病院でも必ず行われる、男性不妊検査の登竜門的検査。2~5日の禁欲期間を経てから指定容器に採精し、精液量、精子濃度、精子運動率などをチェックします。 自宅で採精し、クリニックに持ち込む方法(妻でも夫でもどちらでも可能)と、クリニックで採精する方法があります。 クリニックで採精する場合には、個室での採精が可能か、トイレで行うのか、事前に電話で確認してみると良いでしょう。採精までの時間をプレッシャーに感じる人もいるかもしれませんが、年齢やコンディションにより人それぞれ。クリニックのスタッフも理解しているので、必要以上にプレッシャーを感じる必要はありません。 不妊治療を身近な選択肢にすることを目指し「ぽころぐ」というサイトを運営するご夫婦が採精の経験をブログにしています。事前にこのようなブログなどを探してから心の準備をしてみてもいいかもしれません。

精液検査初体験の感想① それは突然やって来た・・・

https://awesomeworldlife.com/husband-semenexamination1

精液検査はコンディションによって結果の数値にかなりのばらつきがあり、一回の検査で天国か地獄が決まるというものではありません。一回目の結果が悪くても、二回目で問題ないという事もよくある事。 必要以上に緊張する必要はありませんので、リラックスして検査を受けてください。

ステップ2、診察

痛み☆☆☆☆☆ 精神的ストレス★★★★☆(性機能や夫婦生活についての質問、視診、触診など。)

精液検査の結果、更に検査が必要な場合に診察が行われます。 問診:既往症、喫煙歴、長期間の服薬などの一般的な問診のほかに、勃起障害や膣内射精障害などを確認するための質問があります。 視診:男性ホルモンの状態を確認する為の確認として、顎ひげ、恥毛、腋毛の状態や体形チェック、男性器の発育チェックを行います。 触診:楕円形の定規の様なプラスチック板を使用し、こう丸の大きさをチェックします。板をこう丸に当てるだけなので痛みはありません。また立ち上がった状態で下腹部に力を入れ、浮き出た静脈を見る事で隠れた問題がないかをチェックします。

ステップ3、血液検査

痛み★☆☆☆☆(針刺しの痛み) 精神的ストレス☆☆☆☆☆

血液検査も、通常は精液検査の結果を見て必要な場合に実施。様々なホルモンが分泌されているかを確認するために行う検査です。血液検査は問診と同時に行うケースが殆どです。

ステップ4、その他、必要に応じた各種検査

その後は、染色体・遺伝子検査やMRI、精巣生険など、必要に応じた検査を実施する場合があります。

妻も知らない男性不妊検査事情:ステップ2・3も同時に出来る泌尿器科受診も、選択肢の一つ

検査=婦人科、と頭の中で思い込んでいる人は、男女問わず多いのではないでしょうか。 婦人科で働く医師は「女性器」を専門に診ている集団です。勿論、不妊治療に携わる多くの婦人科医は男性不妊についての研鑽も行っていることは間違いありません。しかし、「女性器」にもプロがいる様に、「男性器」にもプロがいるのです。 皆さん、泌尿器科というとどんな想像をしますか? 性病や、おしっこの通りが悪いシニアの行く場所、というイメージを持っている人がいるかもしれません。ですが実は、彼らこそが「男性器」のプロなのです。 例えば、造精機能障害の中で2番目に多いと言われている精索静脈瘤。 精子の質に影響を及ぼすと言われていますが、これは通常の精液検査をしただけでは見つけることは困難です。 顕微授精(不妊治療の最終手段)を複数回行っても妊娠しなかったカップルに、ステップ2の触診を改めて行ったところ、男性側に精索静脈瘤が見つかり、治療を行う事で妊娠に至ったケースなどが実際に報告されています。 例えば、、、こんなケースを想像してください。

妻の不妊治療開始時の年齢:35歳 これまでの治療履歴:不妊治療検査→タイミング法→人工授精→体外受精(50万で試算)3回→顕微授精(60万で試算)2回。 現在の妻の年齢:40歳。 これまでにかかった費用:約300万 度重なる体外受精・顕微授精の不成功により、男性側の検査を再度行ったところ、精索静脈瘤が発見された。 40歳女性の体外・顕微授精における妊娠~正産率:7.7%※ 40歳女性の流産率:35.1%※ ※日本生殖医学会調べ

想像してみてください。もし、この夫婦が最初からステップ2・3の検査をして、早期に精索静脈瘤を発見していたら、、、。 せっかく精液検査で病院に行くのであれば、ステップ2・3も同時に行う事で、余計な身体的・経済的負担をなくし、最短距離で問題を解決できる可能性があるかもしれません。 女性は、妊娠率や流産率と年齢に大きな相関関係があります。奥様の年齢や、自分自身の心境や性格(まずは少しずつ始めていきたいか、やるなら一気に検査をして事実を確認したいか)も踏まえた上で、どのように検査を進めていくか考えてみてもいいでしょう。

良い医師はどこにいるの? 医師選びのポイント

ではステップ2・3も同時に行う場合には、どのように病院を探せばいいのでしょうか? 実は、泌尿器科に行けばどこでも男性不妊を見てもらえるという訳ではありません。泌尿器科の中でも男性不妊を専門としている医師は少なく、専門性の高い病院を見つける事が難しいのが現状です。 例えば一般的な不妊外来だけではなく、男性不妊専門外来を開設している病院の場合には、女性不妊外来の医師と連携を取り、治療を進めることが可能です。 その他にも、男性不妊の医師が集まったNPO法人男性不妊ドクターズという組織があり、そこのHPから医師を探すことが出来ます。 https://www.mids.jp/sanjo 男性専門のクリニックなども掲載されているので、女性ばかりのクリニックで検査をする事に抵抗のある人は是非クリニックを探してみてください。

妻の準備したベルトコンベアに乗るのではなく、自分で情報を得てみる。

実はカップルの不妊の原因の約半数には、男性に原因があると言われています。 実際に男性用のブライダルチェックを行うと、20%以上の人から無精子・乏精子・精子無力症が見つかったというデータがあります。 加えてライフスタイルの変化による性機能障害(勃起障害や膣内射精障害など)も増えてきている為、男性不妊は皆さんが思っている以上に「あってもおかしくない」ものなのです。 妻に言われたから、、、 行かないと文句を言われるから、、、 その様な心境で検査を受ける事に、納得しない人も多いのではないでしょうか。大切な機会だからこそ、自分で病院を探し、納得して検査をし、多くの情報を得る。そして、妻と納得した妊活計画を立てていく。 是非、精液検査を良いきっかけとして、夫婦二人で妊活計画を立ててみてください。

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